食卓を愉しむ 2. 和食のコーディネート
「食卓を愉しむ1」では、和食の基本的なマナーをご紹介しました。 今回は 「和食器」 と 「暮らしに取り入れたい節句のお祝い」 について。 和のテーブルコーディネートをおしゃれに愉しむキッカケにして頂けたら幸いです。
- 1. 【和食器の知識と手入れ】陶器と磁器/選び方/扱い方とお手入れ
- 2. 【器にこだわる】信楽焼/備前焼/九谷焼/伊万里・有田焼/萩焼/江戸切子/会津塗
- 3. 【五節句】 人日の節句/上巳の節句/端午の節句/七夕の節句/重陽の節句
和食器の知識と手入れ
和の食卓・和のおもてなしにはやはり和食器。 普段から食事に上手に使って、扱いに慣れておきましょう。
目次
陶器と磁器
「焼き物(やきもの)」 は大きく 「陶器」 と 「磁器」 のふたつに分けられます。 大きな違いは原料で、そこからさまざまな性質の違いがあります。
陶器
「土もの」 とも呼びます。 陶土と呼ばれる粘土が主な原料で、磁器に比べるとやわらかく、多少欠けやすいかもしれません。 素地には吸湿性があり、叩くと鈍い音がします。質感が独特。
瀬戸・信楽・備前・萩・唐津・美濃焼などが有名。
磁器
「石もの」 とも呼びます。 陶石と呼ばれる岩石を砕いたものが主な原料。 陶器より高い温度で焼成され、硬く、叩くとすんだ高い音がします。 ほとんどは釉薬がかけてあり、白く透明感があります。
九谷・有田・伊万里・清水焼などが有名。
選び方
和食器は、洋食器のように同じシリーズのものを少しずつ買い足すというわけにはいきません。 ご飯ならお茶碗、煮物ならと煮物鉢と料理のレパートリーから良く使う器を考えて、またお手持ちの器とのバランスをとって選んでください。彩りやもちろん季節感を意識することも大切です。手に持って使うものですから、持ちやすさや重さ・手触りを確認しながら選びましょう。まずはよく使うものからそろえていきましょう。
「飯椀・汁椀」 「湯のみ」 「中皿」 「小鉢」 を人数分、または5客セット。
これに、「丼」 「大皿」 「大鉢」 「そば猪口」 などがあると便利。
「急須」 「醤油さし」 などの注し器は使いやすいものを選びましょう。
さらに 「箸置き」 「酒器」 「小皿」 などをそろえていくと便利です。
器の扱い方とお手入れ
器を使い始める前に
まず器の底をチェック。もしざらつきがあるとテーブルや他の器を傷つけてしまうので、サンドペーパーで丁寧に擦ってならしておきましょう。
陶器は吸水性が高いので、水やぬるま湯に充分浸してから使います。米のとぎ汁を使うと目が埋まり汚れがつきにくくなります。煮沸してもOK。急激に冷まさないようにしましょう。そのまま使うと、醤油などの色素がしみ込んで 「しみ汚れ」 や 「カビ」 の原因になります。
洗うときに気を付けたいこと
使い終わった器は早めに水につけ中性洗剤で洗いましょう。 汚れのひどいものはあらかじめキッチンペーパーなどで汚れをふき取ってください。
長い時間水に浸したままにしておくと、汚れた水を吸収して 「カビ」 や 「シミ」 の原因になります。
器にはいろいろな形がありますので、ぶつけたりしないようひとつずつていねいに洗ってください。
熱めの湯ですすぐと乾きが早くなります。カビが生えないように完全に乾かしてから収納しましょう。
金銀彩(きんぎんさい)の器
金や銀で彩色された器の取扱には注意が必要です。 研磨剤の入った洗剤、クレンザー、金属のたわし、硬めのスポンジなど傷がつくものは避け、中性洗剤とやわらかいスポンジでやさしく洗いましょう。
銀は酸化して黒ずむことがあります。 市販の銀磨きか練り歯磨きをを少しつけて、やわらかい布で磨いてください。
長く使わないときは、ラップや和紙などに包んで空気に触れないようにしておくと酸化が防げます。
長くお付き合いしましょう
硬いとはいえ、所詮はワレモノです。せっかく気に入って選んだ器なら、長くお付き合いできるようにていねいに扱いましょう。
収納するときはしっかり乾燥させてから。 出し入れするときに傷をつけないように、形や大きさで分けてきちんと整理しましょう。
重ねすぎると不安定になりますし、下の方の器を使わなくなってしまいます。 あまり詰め込み過ぎないように! 大切な器を重ねるときは間にパッキンなどをはさんでおきましょう。
また時々しか使わない特別な器は、和紙やペーパーナプキンなどで包み、箱に入れて、湿気の少ない棚に保管しておきましょう。
漆器は擦り傷に弱いので、まず先に洗い、他の食器とは重ねないように収納しましょう。 何年もしまいっぱなしにすると、乾燥してかえって傷んでしまいます。 時々使って洗うことによって水分を補給してあげると長持ちします。
電子レンジには極力使わないようにして下さい。 釉薬が溶けたり変色したりする場合があります。 萩焼きのように貫入(かんにゅう:細かいヒビ)のあるものは、長い時間使用すると破損する恐れがあります。 金銀彩の器は電子レンジには使えません。
「使ってこそ」の器です。割れないように大切に扱うことは大事ですが、大切にしすぎてしまいっぱなしでは器がかわいそう。長く、良いお付き合いをして下さい。
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(2006年8月作成)
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