学習机に見る家具の安全

そろそろ学習机のシーズンです。大切なお子さまがはじめて手にする‘自分の城’ですから、機能が優れていること、長く使えること、安全であること・・・各メーカーとも工夫を凝らしています。学習机のお話をしながら、家具の造りや安全性について少し触れてみたいと思います。
尚、ここにあげた機能が全てのメーカーの全ての学習机にあてはまるわけではありませんので、ご了承ください。

素材の話

エフフォースターって何?

建材や家具などに含まれる揮発性有機化合物、カビやダニ、タバコの煙などによって室内環境が汚染され、健康に害を及ぼすのが「シックハウス症候群」。原因の一つとされるホルムアルデヒドは、防虫効果があり、合成樹脂・接着剤の材料となるため、合板やパーティクルボードなどに含まれています。

コイズミ WD-1シリーズ

ホルムアルデヒドの放出量に関するJIS・JASの規格は、「F」と「☆」の数で表示されます。最もランクが高いのが「F☆☆☆☆(エフフォースター)」。以下「F☆☆☆」、「F☆☆」と、星の数が少ないほどホルムアルデヒドの放出量が多いということ。大切なお子さまの最も身近にある家具だから、多くのメーカーで「F☆☆☆☆」「F☆☆☆」の材料を使用しています。

このランク、普段家具を購入される際もぜひ気をつけてみて欲しいのですが、ここで重要なのが「F☆☆☆☆」といえどもホルムアルデヒドの放出量は「0」ではない・・・ということです。さらに、家具のほかにも内装材、衣類やカーテン、日用品などからもホルムアルデヒドは放出されていますし、シックハウス症候群の原因はホルムアルデヒドだけではありません。 できるだけこまめに換気して、室内の空気をきれいに保つことが大切です。また新しい家具を購入した時は、しばらく扉や引出しを開け放しておきましょう。もちろん部屋を締め切っていては意味がないですから、お部屋ごと換気して風を通してあげてください。

地球にやさしい家具を目指して

塩ビ(塩化ビニールシート)は不完全燃焼を起こすとダイオキシンを発生させます。いずれ処分するときのことを考えて、塩ビをやめ、天然の材料を使う動きがあります。ただ高温焼却すればダイオキシンは発生しませんし、もともと非常に優れた性質を持つプラスチックなので、安心してお使いいただけます。

資源を有効利用するため、ゴムを採取した後のゴムの木(ラバーウッド・ラバートリー・マイアン)を積極的に使う動きがあります。短期間で成木となるため、自然を守る植林材として注目されています。

塗料にも有害な化学物質は含まれるため、それらを含まない塗料を使う動きがあります。なかでも100%天然原料の塗料を丁寧に染み込ませた仕上げの机は、有害な物質が発生せず、木の呼吸を妨げず、木の素材感を楽しむことができます。

造りの話

引出しの造り

引出しは動かすことが多い場所。物を入れれば重くなりますし、手が掛けやすいか、レールのすべりはいいか・・など造りが重要な部分です。

四方枠+前板のほうが丈夫

三方の枠に前板がついて箱になっているより、四方の箱組にプラス前板がついているもののほうが丈夫

蟻組

箱組みもきちんと蟻組で組まれているものが丈夫です

補強材

底板にも補強材を入れたり、横桟だけでなく引出し自体を地板で支えることでさらに丈夫になり長持ちします

学習机の引出しの取っ手はお子さまが手を掛けやすいよう工夫されています。引出しのある家具を選ぶ時は、必ず開けてみて・取っ手が持ちやすいか・危なくないかなど確認しましょう。

ワゴンの造り

ワゴン

ワゴンにはキャスターが5つついています。1つは一番下の引き出しについています。ご家庭のデスクキャビネットもそうなっているはず。 深さがあり重くなりがちな一番下の引出しが引きやすいのと同時に、引いたとき重みでワゴン本体が傾いてしまうのを防いでいます。

椅子の造り

学習机の椅子は、姿勢を正しく保ちながら安全にも配慮し、お子さまの成長に合わせていかなければなりません。たとえばイトーキのスライドフィット回転チェアは、座面の高さに加え座面の奥行きと背もたれの高さを同時調節、足置きの高さも自由に調節できます。またワンタッチでキャスターの固定ができ、座面の回転も簡単に止めることができるなど、安全面でも工夫されています。
身体に合っていない椅子で姿勢を悪くしていませんか?良くない姿勢は内臓を圧迫したり腰痛の原因になったりします。椅子選びはくれぐれも慎重に。

イトーキ スライドフィット回転チェア

ライトの工夫

お子さまの目の健康を守るために、学習机のライトはとても重要なポイント。
よく使う手前を明るく照らし、直接目に光が入らないようカバーし、前後や上下に調節でき、作業内容に合わせて明るさが調節でき、上棚を外してもライトは残るなど至れり尽せり。スイッチに手が届きにくい小さなお子さまのために、リモコンつきの学習机もあります。選ぶ時は実際に座ってライトを付けてみましょう。
書斎などでも、手元を照らし光が目に入らないようライトを調節するのは大切なことです。パソコンを使うときは画面に光が反射しないようにしましょう。また、必ず部屋全体の照明と併用しましょう。

細やかな工夫も

鉛筆削り、携帯電話の充電器、パソコンやプリンター、音楽プレーヤーなど、いずれ机周りで必要になる電化製品はたくさんあります。コンセントには、ブレーカーや耐トラッキング仕様(※)など安全に対する配慮や、コンセント取付け位置を変えられるなど、お子さまのための工夫がいっぱい。

動かすことが多いワゴンには、机や部屋を傷つけないよう角にプロテクターがついています。キャスターはストッパー付。
引出しの内部には汚れてもさっと拭けばきれいになる加工が施されていたり、上棚にはどんどん増える身の周りのモノをきっちり収納できるよう各社とも工夫を凝らしています。
デスクと上棚の連結には丈夫な金具を用い、転倒防止金具がついている机もあります。

ワゴンの角にプロテクター

大人になっても使えるシンプルなデザイン、リビングに置いてもしっくりくる机、机に向かうのが楽しくなるようなカラフルな机、親子・兄弟で使える机、自分のお城みたいなベッドデスク、お姫様になれる真っ白な机・・・などなど、学習机にはお子さまの安全への配慮と楽しく使える機能と夢がたくさんつまっています。

※トラッキングとは・・・コンセントとプラグの間にホコリがたまり、このホコリが湿気を帯びることによって発熱・発火すること。

ダイニングチェアは単に‘食事をする椅子’かもしれません。
が、例えば「背もたれがなぜこの角度なのか?」・・・なんてふと考えてみると、そこには「リラックスして食事ができる角度」を追求した、製造者のこだわりがあるかもしれません。自分にピッタリの座り心地の良いチェアにめぐり合えたら、毎日の食事が一層楽しくなるでしょう。
色・素材・形・サイズ以外にも、「角が丸いから安全」「取っ手がつかみやすい」「素材が安心」「耐震機能が優れている」・・など、家具のいろいろな面をぜひ見てみてください。

学習机の選び方や買うタイミングについて、こちらの記事で紹介しております。ぜひご覧ください。
【関連記事】
学習づくえの選び方
学習机はいつ買うべきか?おすすめのタイミングや選び方

(2008年11月作成)

本文中に使用している家具・インテリアの写真はイメージです。当社にてお取扱いのない商品が含まれる場合がございます。また、掲載しました情報はコラム作成当時のものとなりますので予めご了承ください。

東京にある日本最大の家具店村内ファニチャーアクセス八王子本店で皆さまをお待ちしております。
家具選びでお悩みの際は、専門のスタッフが皆さまの家具選びをサポートさせて頂きます。
ぜひ東京で家具屋をお探しの方は、村内ファニチャーアクセスまでご相談ください。

インテリアの知識トップへ