食卓を愉しむ 2.和食のコーディネート 3

五節句

 1/7 人日の節句 ・ 3/3 上巳の節句 ・ 5/5 端午の節句 ・ 7/7 七夕の節句 ・ 9/9 重陽の節句の5つの節句を「五節句」といいます。
「五節句」 の 「節」 は古い中国の暦で定められた季節の変わり目のこと。 奇数(陽)が重なると 「陰」 になるとして、邪気を払うしきたりがありました。それが奈良時代の日本に伝わり、稲作の風習と合わさって、宴を催し神々に感謝する 「祭」 となります。江戸時代になるとそれぞれの日にそれぞれの意味がつけられ、年中行事として楽しまれるようになりました。
「五節句」 の制度は明治6年に廃止されましたし、今ではもうなじみの薄い節句もありますが、ハレの日を楽しむ心は持っていたいですね。 そんな 「五節句」 をご紹介します。

一月七日 人日の節句 (じんじつのせっく)

一月一日だけは別格とされ、七日の人日が五節句の一とされています。 人日とは文字通り人の日のこと。 古代中国では一月一日から、「鶏・狗・猪・羊・牛・馬」 の順に獣畜の占いを立て、七日に 「人」 の占いを始めたということです。
稲作の始まりの頃。七草粥を食べ、豊作と1年間の無病息災を願います。七草粥にはお正月のご馳走で弱った胃をやさしくいたわり、ビタミンを補う効果もあります。
春の七草、言えますか? ・・・ せり・なずな(ぺんぺん草)・ごぎょう(ははこ草)・はこべら(はこべ)・ほとけのざ(たびらこ)・すずな(かぶ)・すずしろ(だいこん)

胃も主婦もお休み!

スーパーで便利な七草粥セットを売っていますね。
大きな土鍋にたっぷり作って、ご家族や親しい仲間でおかゆパーティーはいかがでしょう。 胃を休める七草粥ですから、他に凝ったご馳走もいりません。温かいおかゆをゆっくり食べて、食べ物に感謝し、健康を願いましょう。

三月三日 上巳の節句 (じょうしのせっく)

3月3日の上巳の日には、草木や藁・紙で作った人形(ひとがた)で体をなで、自分の厄を移し、水に流してみそぎをする風習がありました。 中国でも、川辺に出て不浄を除くため水でおはらいをする風習があります。
ちょうど桃の季節。 中国では桃には邪気をはらう力があるといわれていて、桃の花の入った桃酒を飲む習慣があったことから、「桃の節句」 とも呼ばれています。
また平安時代のお姫様は、人形(ひとがた)で‘ひいな遊び’というおままごとのような遊びをしていました。
これらの風習や遊びが、現在のひな祭りになったといわれています。

初節句

女の子が生まれてはじめて迎える3月3日は初節句。 両家の両親やお祝いをいただいた方、親しい方などをお招きして、生まれたばかりの赤ちゃんが健康に育つようにとお祝いをします。
おもてなしのお料理といえば、おすしとはまぐりのお吸い物、それに鯛の尾頭付き。 はまぐりは他の貝とはふたが絶対に合わないところから、将来良い伴侶に恵まれるという意味があります。
雛人形は赤ちゃんの身代わりとなってもらい、災いがふりかからないようにとの願いを込めて贈るもので、本来はお嫁さんの実家から贈るのがならわしです。

ひな祭りパーティー

ピンク色のクロスや食器を使うだけでも雰囲気が出ます。 朱塗りの器もひな祭りにピッタリ。 食卓に小さなお雛様人形や桃の花などを飾ってみましょう。
お料理はおすし・はまぐりのほかに、雛あられ・ひしもち・草もち・甘酒などが定番。 ひしもちの 「白・緑・桃」 色には、「雪が溶け・芽吹き・花咲く」 という意味がこめられています。 季節感を意識して、できるだけ旬のものを使いましょう。
かわいらしい女の子の節句ですから、食卓もかわいく華やかに飾って楽しいパーティーにしてください。

五月五日 端午の節句 (たんごのせっく)

「菖蒲の節句」とも言われます。菖蒲は強い香気で邪気を払うといわれていて、軒につるしたり菖蒲湯に入ることで無病息災を願いました。
時代と共に、「菖蒲」と「尚武」をかけて武士を尊ぶ節句へと移り、江戸時代以降は男の子の誕生と成長を祝い立身出世を願う日となりました。
飾りは「鎧」や「兜」の内飾りと「こいのぼり」の外飾りがあります。「鎧」「兜」は身を守り、強くたくましい子に育つようにとの願いを込めて。「こいのぼり」 は 「竜門(という激流)を登った鯉は竜になる」という古代中国の伝説にちなんで、立派な人になるようにと立身出世の願いを込めて飾ります。

初節句

上巳の節句同様、男の子が生まれて初めての5月5日は初節句です。両家の両親や親しい方などをお招きしてお祝いしましょう。

こいのぼりパーティー

初節句には「ちまき」を、2年目からは「柏餅」を食べます。柏は新しい芽がでるまで古い葉を落とさない事から、「家督が途絶えない」 縁起物とされています。ちまきを包む笹には、邪気を払い疫病を除く薬用効果があります。
男の子の成長を願う日ですから、素材も旬のもの・勢いのあるものを使いましょう。旬のたけのこ、出世魚のスズキやブリ、‘勝男’ に通じるカツオなど。
小さいお子さんがいらっしゃるなら、ナプキンを兜の形に折ってみたり小さなこいのぼりを立てたりしてみてもかわいいですね。

七月七日 七夕の節句 (しちせきのせっく)

七夕の風習は、中国に古くから伝わる 「牽牛・織女」 の伝説に、日本古来の 「棚機津女(たなばたなつめ)」 の信仰が混ざり合ったものです。
「七夕」 を 「たなばた」 と読むのは 「たなばたなつめ」 が元と言われています。 「たなばたなつめ」 と呼ばれる女性が機(はた)で織った布を神に納め、厄災を持ち帰ってもらうという信仰です。
また、「牽牛・織女」 の伝説から発達した「乞巧奠(きこうでん)」では、竹竿に糸をかけて願いを星に祈るとかなえられるというならわしがあり、これが願いを短冊に書いて吊るす風習になり、広まっていきました。

七夕パーティー

かつては、健康を祈って 「索餅(さくべい)」 という食べ物が食べられていました。 「さくべい」 は小麦と米の粉を練って紐状にし、縄のように縒ったお菓子のようなもので、これが七夕にそうめんを食べる習慣になったと言われています。
七夕は稲作の収穫祭でもありますから、つるつるのそうめんにナスやきゅうりなどの夏野菜を添えて、自然の恵みに感謝する食卓はいかがでしょう?
飾りにはぜひ 「ほおずき」 を使ってみましょう。 7月(文月・ふづき)に咲くことから、「ふうづき」 が転じて 「ほうずき」 になったといわれています。 日本の夏の風物詩です。

九月九日 重陽の節句 (ちょうようのせっく)

一番大きい奇数(陽)が重なる日ということで、「重陽の節句」 といいます。 菊をめでながら長寿を祈る節句。 古代中国では、菊は 「翁草(おきなぐさ)」 「千代見草(ちよみぐさ)」 「齢草(よわいぐさ)」 と呼ばれ、邪気をはらい長寿の効能があると信じられていました。菊に関する歌合せや、菊を鑑賞する宴が催されたり、菊の花を浮かべたお酒を飲む風習があったようです。 また農村では、収穫を栗ご飯で祝う「栗の節句」の風習があったようです。

菊づくし

菊は優れた抗菌作用で食中毒を防ぐ効果があります。 見た目にも美しい菊の花ですから、料理に使うほか、お酒に浮かべたり、生けたり、水を張ったボウルに浮かべたり ・・・ テーブルも 「菊づくし」 で楽しんでみてはいかがですか?
飾りにはススキや栗なども添えて秋らしくどうぞ。

(2006年8月作成)

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