涼を感じるインテリア
じめじめしっとり梅雨の次は、じりじり暑い夏・・・
季節の移り変わりは情緒があっていいものですが湿気や熱気のことを考えるとちょっと憂鬱になりますよね。
季節と上手に付き合うためにちょっとした工夫で「涼」を呼ぶ。暑い季節を涼しくすごすためのインテリア特集です。
五感に涼を呼ぶ
イマドキはエアコンのスイッチをぽんと押すだけで簡単に部屋の温度を下げることが出来ますが、それでは電気代もバカにならないしあまりに情緒が無い・・・ エアコン嫌いの方は冷えすぎるほどの冷風を身体に受けるより、視覚や聴覚から涼しさを感じるインテリアで、自然な「涼」を演出しみてはいかがでしょう。
服を「衣替え」するように、インテリアも季節に合わせて着替えてみませんか? 暑い夏と上手に付き合うために、「涼」を演出してみましょう。
視覚
部屋の中がごちゃごちゃしていて多くの色が目に飛び込んでくると、重く暑苦しく感じてしまいます。テーマカラーを決めてシンプルなコーディネートを心がけるのがコツ。
青・・・寒色系のブルーのさわやかなイメージが海や水を連想させ涼しげな印象を与えてくれます。清潔感のある白とあわせるとさわやかさもアップ。夏の定番コーディネートですね。
藍・・・和風のコーディネートにポイントとして使うと、涼しげな日本の夏を連想させてくれます。分量が多くなると逆に重々しくなってしまうので要注意です。
アースカラー・・・大地や空、海などを連想させるナチュラルカラーのコーディネートもさわやかで涼しげな印象です。ポイントはグリーンの観葉植物を合わせること。
濃い茶系の家具が多いなら、思い切って原色を合わせて南国風にしてみてはどうでしょう。好みが分かれるところですが、使う色を最小限におさえて品を失わないようにしましょう。
またガラスなど透ける素材や観葉植物、籐や竹など自然素材も涼しさを呼ぶインテリア小物です。
聴覚
日本の夏の音といえば風鈴ですが、ご近所に気を配らないと「騒音」にもなりかねません。風の強い日や長期留守にするときは、はずす気配りが必要です。家の中でエアコン、あるいはうちわや扇風機の風にゆれる様を楽しんだり、窓を開けたときに不意に鳴る音を楽しんだり、そんな「程よい」程度が涼しげですね。
触覚
金属やプラスチックの冷たい手触りよりは、自然素材のやさしさのほうが涼しげです。見た目にもさわやかでひんやり気持ちいい麻や木綿、籐や竹、あるいはすだれやよしず、ゴザなどの和の素材をうまく取り入れてみましょう。
味覚
食材や器もテーブルの上のインテリアです。つるつる、シャリシャリ、ひんやり。夏らしい食感はもちろん、色や盛り付けもカラフルに楽しみましょう。
嗅覚
何とは特定できなくても、家にはそれぞれ独特の匂いがあるような気がします。香りもさわやかに演出して、お客様にも「涼」を感じていただきたいもの。
アロマや香を炊くのもいいですし、フルーツをおくだけでもお部屋がさわやかな印象になります。
家具を買い換えるのは大変ですが、カーテンを夏用に替えたり、ソファにカバーをかけたり、テーブルクロスを掛けたりとファブリック(布・生地)を工夫すれば、手軽に部屋のイメージを変えられます。すっぽりくるんだり、ふんわりかけたり、つるしたり、敷いたり、壁に飾ったり・・・お手頃価格でどんな風にも使えます。使わないときは畳んでしまっておけるのもファブリックならでは。ちょっとした模様替えには最適です。洗えるのもうれしいですね。
色だけでなく、麻や木綿、レースなど涼しげな素材にもこだわってみましょう。
お部屋全体に手を加えるのが難しいなら、どこかに夏のコーナーを作ってみませんか? 白い額に夏の写真やイラストを入れ無造作に立てかけてみる、色や形がばらばらなガラスのビンやフラワーベース(花瓶)などのアイテムを一ヶ所に集めてみたり、シンプルな和紙のスタンドに竹や籐の小物をあわせてみたり、観葉植物を夏の間だけ籐の鉢カバーに入れてみたりとアイデア次第です。
気分次第で模様替えできるディスプレイコーナーがあるとコーディネートも楽しくなりそうです。
先人の知恵
高温多湿の日本では、冬の寒さよりも夏の暑さと湿気に対応する家造りがなされてきました。外と内の中間的な役割を果たす縁側、仕切ったりはずしたり空間を自在に操れる障子やふすま。自然から身を守るという閉鎖的な考えではなく、自然と共存、融合する開放的な家屋造りです。(冬の寒さにはめっぽう弱いです)先人の知恵から学ぶべきは多いかもしれません。
風通しのいい家
日本の家は南北に間口を大きくとり、風通しよくつくられています。外との境も壁で覆うのではなく障子で仕切り、開放することで自然の風を通すことが出来るようになっています。湿気をためないよう、床下にも風が通るように工夫されています。
マンションや密集した住宅地などでは、一部屋に二つ以上窓をつくることも難しいし、開け放すとプライバシーが侵害されるという恐れもあります。が、できるだけ風の入口と出口を用意して、家の中に風の通り道を作る工夫はできそうです。
日光はシャットアウト
長い庇(ひさし)は直射日光をカットして縁側に心地良い日陰を作ってくれます。さらにすだれやよしずを使うことで、風は通すけど日光は遮断するのです。秋から春にかけてはポカポカ心地いい日差しも、「夏の日差し」となるととても耐えがたいもの。庇の代わりにカーテンやブラインドでしっかり遮断すると冷房の効率も上がります。すだれは夏のインテリアとして室内にかけるのもいいですが、窓から出来るだけ離して軒下につるすと効果的です。
打ち水
朝夕庭に打ち水をすると風が涼しく感じられます。水が蒸発するときに地表の熱をうばうためで、1〜2℃は気温が下がると言われています。
ただし、かんかん照りの日中や熱くなったベランダにやると、蒸気が熱を持ってしまい効果がありません。屋根に水をかけるのも効果的だそうですが、そこまではちょっと躊躇します。
梅雨を気持ちよく乗り切ってさわやかに夏を迎えよう!
「梅雨のしとしと降る雨が好き・・・」なんて書くと素敵なエッセイの書き出しみたいですが、「梅雨が好き」って言い切れる人って少ないですよね。暑い夏を迎える前にさけては通れない梅雨。梅雨の湿気とカビを乗り切って、さわやかで涼しい夏を迎えましょう。
湿気は大敵
外は雨続きで家の中がじめじめ。こもった湿気はカビを呼びます。カビはアレルギーのもとになります。風通しを良くして温度と湿度を押さえましょう。エアコンのドライ機能はかなり効果的です。
お風呂はカビの温床になりやすいところ。充分な換気が必要ですが、湿気をとるために風呂上りにドアを開けておくのは禁物です。湿気が部屋の中に入ってきてしまいます。風呂上りにバスタオルなどで天井や壁の湿気をふき取っておくとカビが防げます。そうは言っても毎日そこまでするのは大変、壁に水を流しかけておくだけでも効果があります。カビの元となる石鹸汚れが流れ落ち、壁の温度が下がってカビが生えにくくなります。
家具が水太りする!?
湿気が多くなると木の家具は湿気を吸って膨張します。すきまをなくして湿気をシャットアウトしてくれているので、私たちにとってはありがたい性質ですが、引出しが開けにくくなってしまうのでは元も子もありません。
引出しが水太りして開けにくくなってしまったら、天気のいい日に風通しのいい日陰で風に当てると元に戻ります。
それでもダメならドライヤーの冷風を側面に当ててみましょうドライヤーは約30cm離し、間違っても直接熱風をかけないようにしましょう。
引き出し本体の側面や底板にロウを塗るかサンドペーパーをかけておくとすべりがよくなります。
どうしても引き出せないときは、その他の引出しを抜いたり扉を開けたりして家具本体に風を通してみましょう。
日本の夏は高温多湿
日本の夏は温暖化やヒートアイランド現象の影響でますます不快で過ごしにくい環境になっています。高気密・高断熱の住宅でエアコンでの温度管理が当たり前になった現代、伝統的な技で五感から、夏を楽しみながら涼しく過ごしてみてはいかがでしょう。
(2002年6月作成)
本文中に使用している家具・インテリアの写真はイメージです。当社にてお取扱いのない商品が含まれる場合がございます。また、掲載しました情報はコラム作成当時のものとなりますので予めご了承ください。