一年中楽しめる自然素材の魅力 -籐-
爽やかで涼しげな印象がある反面、優しい暖かみも感じさせてくれる。籐は様々な表情を持っています。その優しさはきっと、人の手でひとつひとつ編みこまれたものだから感じるのだと思います。
自然の素材はそれぞれが独自の顔を持っています。少々あまのじゃくな面もあったりしますが、愛情をもって接してあげればちゃんと応えてくれます。
今回は「籐」という素材について少しご紹介します。
籐 -ラタン-
ラタンはヤシ科のつる性植物で、そのほとんどがインドネシア、そしてフィリピン・マレーシア・ミャンマーなど熱帯・亜熱帯に分布しています。ジャングルでターザンがぶら下がっている、アレです。逆さ方向の鋭いとげがあり、他の樹木にからみつきながら上へ上へと成長します。約300種以上もあるといわれていますが、家具材料として使われているのは約30種。軽くて丈夫で弾力性があり、曲げやすく折れにくい、暖かみのある素材です。
「竹」同様節がありますが中は竹のように空洞ではなく導管が詰まっています。字が似ていますが、「藤」はマメ科フジ属の植物です。
籐工芸の歴史
日本の籐製品の歴史は1000年以上前にさかのぼります。とても珍重され、茶道具や武具などに多く使われました。日本には竹を使った道具がたくさんありますが、竹を編んだふち周りには柔らかくて丈夫な籐がとても都合が良かったのです。
籐家具が使われ始めたのは明治維新前後。当時は貴重品で、趣味性の高いものだったそう。戦争で一時途絶えますが、戦後進駐軍の駐留で復活します。昭和50年代、デザイン面においてめざましく発展しますが、機械化・合理化、そして海外での生産・輸入がすすむにつれ、日本の職人さんは少なくなっているのが現状です。
籐製品の魅力
軽くて丈夫
籐製品・籐家具は素材の籐を曲げたり編んだり巻いたりして作ります。他の素材に比べてとても軽くてしかも丈夫。また角がなく、衝撃を吸収してくれるので安全性にも優れています。高齢の方やお子さまのいるご家庭でも安心してお使いいただけます。
天然素材のぬくもり
籐の加工はほとんどが人間の手によるもの。素材自体の美しさ、ぬくもりにくわえて手作りのあたたかみ・人間味があり、優しい空間をつくります。
籐には懐かしいやさしさや異国情緒的な魅力など様々な表情があります。和風にも洋風にもしっくり馴染み、どんな空間にも合う柔軟性と籐ならではの魅力を醸し出してくれます。
籐製品のお手入れ
籐は自然の素材です。極端な乾燥と湿気を嫌い、美しい曲線が伸びてしまったりカビが生えてしまったりすることがあります。しかし丈夫で長持ちする素材ですから、普通にきれいに使用していれば問題はありません。
−普段のお手入れ−
ホコリがたまりやすいので、ブラシノズルをつけた掃除機や洋服ブラシなどで目にそってさっと払ってください。柔らかい布で毎日軽く乾拭きしてあげると、汚れも取れつやが出ます。
−汚れがひどいとき−
うすめた中性洗剤にひたしたぞうきんで汚れをふき取った後、洗剤をふきとってしっかり陰干しします。強くこすると光沢がなくなってしまいます。研磨性の洗剤やシンナーなどの溶剤は使用しないで下さい。
−こんなときは−
ぬれたときは
すぐに水分をふき取り、陰干ししてしっかり乾燥させてください。
黄ばみを取るには
薄い塩水をブラシにつけてこするときれいになります。
ほつれてしまったら
先端に木工用ボンドをつけしっかり着くまで太いひもで巻いて固定します。ほつれが広がらないよう早めに対処しましょう。
カビが生えてしまったら
市販のカビ除去剤を水で薄め、籐の方向に沿ってふきとり、水でぬらして固く絞ったぞうきんでふき取ってください。水ぶき後はよく乾燥させます。
長く使っていないものを急に出して使うときは
一度固く絞ったぬれぶきんでふいて軽く湿り気を与えてから使うと、材料が切れたり傷んだりしません。しっかり乾かすのを忘れずに。
−天敵−
籐製品は極端な乾燥と湿気が苦手です。温風の当たる場所や直射日光にさらされる場所はなるべく避けてください。脱衣所などで使う場合は、換気をしっかりして時々陰干ししてあげましょう。
籐以外の素材にも共通しますが、椅子やスツールは座るための家具、チェストは物をしまうための家具。踏み台にしたり、目的以外の使い方をすると傷ついたり壊れたりしてしまいます。 ちょっとひと手間のお手入れと、正しい使い方をしてあげることで、家具は長持ちし共に時を経てゆくことができます。
(2004年9月作成)
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