家具にカビが生える原因と代表的な3種類のカビの対処方法

/ 最終更新日:2024/04/26

家具にカビが生える原因と代表的な3種類のカビの対処方法

カビとは、細菌と同じ微生物の一種(真菌類)です。
キノコや酵母を作る真菌の仲間で、肉眼で見えるものは俗称として「カビ」と呼ばれます。

真菌類には5つの種類が存在し、糸状の菌糸と、空気中に舞い上がる胞子から構成されています。
カビの胞子は空気中の至るところに浮遊しているため、湿気のある場所や暖かい季節は、室内や食品に生えるカビに注意が必要です。

この記事では、家の中に生えるカビの種類とカビの弊害や原因について紹介します。
カビが生えてしまった場合の対処法や対策方法も取り上げていますので、カビ予防や掃除の参考にしてください。

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家の中に生える主なカビの種類

家の中に生えるカビは、「アカカビ」「アオカビ」「クロカビ」の3種類です。

すべて空気中に一般的に浮遊している真菌類ですが、どのような違いがあるのでしょうか。

アカカビ

アカカビは「ロドトルラ」という名称の真菌類で、高温多湿な環境を好む酵母菌の一種です。
肌色・オレンジ・ピンクのような暖色系の色で、菌糸は持たないため付着した場所に根を張ることはありません。

浴室・キッチンの排水口や水道の蛇口まわり、浴室内の隅やヘリなど水分が溜まりやすい場所で発生し、20度以上の気温で繁殖スピードが上がって、アカカビの範囲が広がっていきます。

菌糸は持っていませんが、栄養成分をそれほど多く使わずに繁殖できるため、水と湿気さえあればどこでも繁殖できる特性があります。
クロカビのように根をしっかりと張るタイプのカビではないため、浴室用洗剤やエタノールを吹きかけてスポンジで軽くこするだけで取り除けます。

アオカビ

アオカビは「ペニシリウム」と呼ばれる真菌の一種です。
ペニシリウム属のカビにはいくつかの種類があり、全体的に青色や緑色のものが多いため、全体を総称してアオカビと呼ぶようになりました。

食品・土壌といった至るところに存在し、有益なカビとしてはブルーチーズを生成するカビや、抗生物質・ペニシリンを作り出す「ペニシリウム・クリソゲナム」が知られています。

室内のアオカビには、ミカンや食パンの表面に発生するものがあります。
これは、温度や湿度が高く風通しが悪い状態という条件が重なることで、パンやみかんの水分と栄養分をエサに成長した状態です。

アオカビを吸い込むとアレルギーの原因になるため、湿気が多いキッチンや浴室は普段から清潔に保ち、十分に換気しましょう。

クロカビ

クロカビは「クラドスポリウム」と呼ばれる真菌です。
室内外にみられる代表的なカビであり、浴室・トイレ・キッチン・屋外の湿気のある場所・窓辺・壁などあらゆる場所で根を張って成長します。

アカカビやアオカビと同じく湿気のある場所を好み、掃除されていない場所を中心に繁殖します。
菌糸や胞子は濃い緑色で、繁殖すると密度が濃くなり居場所が黒く見えるため、クロカビと呼ばれるようになりました。

クロカビは水のある場所に定着しようと根を張っていくため、見つけた場合はこまめに除去し、高温多湿にならないように注意が必要です。
古い住宅では室内でクロカビが大繁殖することがありますが、この場合もすぐに清掃・除菌し、カビの発生源(壁の中の水漏れなど)にも対処する必要があります。

家具にカビが生えることの弊害

家具にカビが生えると、以下のようなトラブルが発生します。

【家具にカビが生える弊害】

  • ・見た目が不潔になる
  • ・手入れが行き届かないと広がる
  • ・家具の傷み・寿命が短くなる
  • ・部屋が不衛生な状態になる
  • ・健康への悪影響のリスク
  • ・カビ臭の発生

木製家具にカビが生えると徐々に色が黒ずんでいき、カビの生えた部分は濁ったような色合いになります。

手入れを放置しているとカビはどんどん根を張って密集し、密度の高い部分は黒い点状へと拡大します。
色の濃い部分がさらに広がると、木の色が失われ、やがてカビが生えた面全体が真っ黒に。

浴室や窓のカビと同じように見た目が不潔になり、さらにカビの範囲が広がると、家具の内部や収納しているものにも移りやすくなります。
放置し続けて除去できなくなると、家具を腐食させていき木材がもろくなり、硬度や耐久性が失われてしまうのです。

カビの発生をそのままにしていると、他の木材や壁、床を汚染し、健康にも悪影響となります。
ぜん息やアレルギーの原因になったり、感染症にかかったりするおそれがあります。

カビの範囲が広がってくると、見た目が不潔になるだけではなく、湿った土のような独特の臭いが漂うため、消臭だけでは対処できません。

家具にカビが生える原因

家具にカビが生える原因

カビは屋内外に浮遊する真菌の一種ですが、家具になぜカビが生えてしまうのでしょうか。

代表的な原因として「高温な室内環境」「結露」「埃(ほこり)や汚れ」の3点を詳しくみていきましょう。

室内の湿度が高い

一般的に、カビは室温が20度以上・湿度60%を超えると発生しやすくなります。
人間にとっても快適さを感じる25〜28度がもっとも活発に活動するとされ、湿度が高くなる日は特に注意が必要です。

人間が居住する環境は20〜30度程度に保たれるため、水分さえあれば人間の生活環境内でカビも生き続けられるのです。
反対に、20度を下回るとカビの活動量は落ちて繁殖しづらくなるため、寒冷地や湿度が低い地域ではカビが発生しにくくなります。

カビには乾性と湿性の2種類があり、乾性のカビは湿度が60%程度で活性化します。
60%に至らなければカビが生えないというわけではなく、50%程度でも多少の湿気や水分が残っていればカビがそこで発生するため、湿度だけにこだわらず部屋全体を換気し、隅々まで乾燥させるようにしましょう。

結露しやすい環境になっている

カビは水分のある場所を住み家とするため、結露が発生する窓は特に好ましい環境です。

断熱性が高い部屋では室内と室外の気温差が大きくなりやすく、空気中に存在する水蒸気が冷やされて水滴になり、結露が発生します。
結露が起きて窓のヘリに水滴が溜まると、空気中を浮遊していたカビが取り付いて定着し、繁殖を始めます。
人間が居住する室内は外よりも暖かいため、室温の条件も重なって、窓の外ではなく窓枠の内側にカビが発生しやすくなるのです。

結露は部屋の中に水蒸気が多く、気温差があるときに発生します。
入浴後や雨の日は窓をこまめに確認し、結露が発生したときはこまめに水分を拭き取ってください。

水分の中に含まれるカビ菌ごと拭き取っておけば、それ以上繁殖することなく清潔な状態が保てます。

埃や汚れが溜まっている

埃やチリ汚れはカビと関係がないように思えますが、人間にとって有害な汚れの中にも栄養が含まれている場合があり、カビはそれらを吸収して栄養源とします。
また、埃が溜まっている場所は掃除が行き届いた場所よりも温度が高く湿気を蓄えているため、カビが住みやすい環境です。

埃や汚れが溜まっている場所はこまめに拭き取り掃除や掃き掃除を行い、風を入れて中の湿気を追い出し、汚れが溜まらないようにしましょう。
木造家屋では、押し入れや天袋のような狭い空間は隅々までチェックし、定期的に中身を出して換気するようにします。

埃のように軽い汚れは空気中に舞い上がらないように掃除機で確実に吸い取り、部屋の角や収納スペースの奥には除湿剤を設置すると良いでしょう。

カビが生えやすいものを置いている

カビは小さな胞子の状態で空気中を漂っており、水と多少の栄養があれば、どのような場所にも繁殖します。

特に注意したいものが食べ物で、果物・パンや米・お菓子に多く発生するため、封を開けた状態で放置するのは避けてください。
一度封を切ったものは密封できる容器や袋に入れ替えて冷凍庫で保存し、空気が入ったまま高温多湿の環境で保管しないようにしましょう。

一度も封を切っていなくても、冷蔵庫や冷凍庫に入れるべきものを高温多湿の場所に置いておくと、カビの繁殖条件が整ってしまいます。
購入・調理したあとの食べ物は常温で放置せず、早めに食べきるか冷蔵庫で保管しましょう。

一定期間保存する場合は、密閉できる袋や容器に入れて保管します。 付着した菌を殺菌するためにも、火を通せるものは事前によく加熱し、冷凍などの方法で保管しましょう。

家具にカビが生えてしまった場合の対処法

家具にカビが生えてしまった場合の対処法

大切な家具にカビが生えてしまった場合は、すぐに表面のカビを拭き取ってください。
拭き取りは雑巾やペーパーにカビに効果のある薬剤を含ませて使用します。

カビがまだ奥に侵入しておらず、家具の表面だけにある場合は拭き取りで対処できますが、奥まで根を張ってしまうと拭き取りだけでは除去できません。

カビ取り剤を使ったカビ取りの流れは以下のとおりです。

【カビ取り掃除の流れ】

カビが生える場所 掃除の手順
表面のカビ
  1. 薬剤を含ませた布やペーパーで拭き取る
  2. 薬剤をカビに直接スプレーして5分ほど放置し洗い流す
  3. 乾拭きをする風にさらして乾燥させる
奥に張ったカビ
  1. 薬剤をカビに直接スプレーして10分以上放置し洗い流す
  2. 風にさらして乾燥させる
除菌できないカビ
  1. 汚染された部分の木材を取り除く

木材家具の掃除では、まず表面の埃や繊維くず、カビ汚れを取り除きます。
拭き取り掃除で取り切れない汚れは直接薬剤をスプレーし、放置してから洗い流して様子をみましょう。

クロカビは胞子の奥に菌糸が残っているため、表面がきれいになったように見えても奥が除菌できていない場合があります。
奥に張ったカビを取り除くには塩素系漂白剤のように除菌力の強い薬剤が必要です。

ただし、木材家具の多くは表面に傷や乾燥防止のための塗装が施してあり、相性の悪い薬剤を使うと塗装が剥がれ落ちてしまいます。
可能であれば木材家具の塗装の種類を確認し、薬剤が使えるかどうかをチェックすることをおすすめします。

塗装の種類がわからなければ、まずは中性洗剤を用意してスプレーし、拭き取りを行って様子をみてください。

必要なアイテム

カビ汚れの掃除に必要なアイテムは以下のとおりです。

【カビ掃除に必要なアイテム】

  • ・薬剤:中性洗剤・エタノール(アルコール)・重曹・塩素系漂白剤
  • ・ふきん:キッチンペーパー・ウェットティッシュ・雑巾(使い捨てのもの)
  • ・乾拭き用ふきん:キッチンペーパー・雑巾(使い捨てのもの)
  • ・掃除アイテム:マスク・ビニール手袋(使い捨てのもの)・エプロンなど

木材家具のお手入れは、表面に傷をつけないように行うのが基本です。
薬剤をつけて何時間も放置したり、塗装が剥がれるほど強力な薬剤を使ったり、薬剤を噴射してからブラシでこすったりしないようにしましょう。

家具にカビを生えさせないための方法

木の家具は天然の木材からできており、木材にはカビが発生します。
日本は高温多湿な地域が多いため、湿気や換気を意識しなければなりません。

ここからは、家具にカビを生えさせないための方法をみていきましょう。

換気・除湿を意識する

屋内外の空気中にはカビの胞子が常に浮遊しているため、温湿度やその他の条件が整えば、カビが家の中に住み着いてしまいます。

水分が溜まりやすく、掃除が行き届いていない場所を中心に定着するため、水回りや窓辺はしっかりと換気を行ってください。
木造家屋や木材家具が置いてある部屋では、除湿器や除湿剤を活用しましょう。
特に、収納家具の場合は引き出しや扉を開けて換気を行うか、中に除湿剤を置いて湿気が溜まらないように注意しましょう。

エアコンや扇風機をつけて空気を冷やしているだけでは除湿が行き届かないため、必ず除湿機能を利用して部屋の湿度を下げてください。
カビが生えている、あるいはカビのようなものを発見したときは、早めに掃除をして、ヌメリや湿気を取り除きましょう。

家具と壁の間に隙間をつくる

カビによる家具のトラブルは、家具とその他のものが密着する場所で発生します。
木材家具の場合は、壁や床にぴったりと密着させているところがカビの温床になる可能性があります。

密着した状態で室内に湿気が溜まり、温度が高くなると、隙間から入り込んだカビの胞子が繁殖に最適な住み家として、その場に定着するおそれがあるのです。
重さがある家具ほど壁や床と接する部分の掃除や手入れがしにくくなるため、タンスの底と床の接地面は、カビにとって絶好の繁殖場所になります。

カビ予防には家具と家具、家具と壁の間にそれぞれ隙間を作るようにしましょう。
棚は床に直接置くものよりも、キャスターをつけて床から浮かせるとカビが発生しにくくなります。

清掃を定期的に行う

キッチンやトイレ、浴室は特にカビが好む場所です。
クロカビだけではなくアカカビやアオカビも水のある場所に集まってくるので、水が跳ねた場所や溜まった場所は定期的に拭き取り掃除を行い、清潔な状態を維持することが大切です。

アカカビは菌糸を持たないため拭き取りのみできれいになりますが、クロカビは根を張って繁殖するため、専用の薬剤で根元から除菌しましょう。
浴室は使用中、使用後から換気扇を回して除湿を開始し、湿気を残したままにしないように注意します。

木材家具に発生するカビはこまめなケアで予防する

今回は、室内と室内の建具や家具に発生するカビの種類と特徴、カビが生える原因と対処法を紹介しました。

浴室の掃除に使われる塩素系漂白剤は奥まで根を張ったクロカビにも効果的ですが、木材を傷めたり塗装が剥がれたりする原因になるため、影響の少ない薬剤を使用してください。

中性洗剤やエタノールを吹きかけて表面の汚れを落とし、頑固な汚れはスプレーをしてから放置するといった方法で様子をみて、こまめなケアを心掛けましょう。



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