イサム・ノグチの家具デザイン
2004年、イサム・ノグチ生誕100年を記念してさまざまなイベントが開催されました。2005年7月1日には、最後の作品といわれる北海道モエレ沼公園がグランドオープン。東京都現代美術館でイサムノグチ展が開催されるなど、まだまだ注目を集めています。
イサム・ノグチは、1904年詩人野口米次郎と作家レオニー・ギルモアとの間に生まれ、2歳から13歳まで日本で過ごしました。渡米後、医師を目指す傍らレオナルド・ダ・ヴィンチ美術学校で彫刻を学びます。パリへの留学、そしてアジア・ヨーロッパ各地を巡り、さまざまな芸術を習得していきます。
イサム・ノグチは「芸術によって日常に豊かさをもたらしたい」と考えていたそうです。そんな彼の作品は、公共のモニュメントや公園・庭園などの環境設計、家具・インテリアから舞台美術まで多岐にわたっています。
1988年、モエレ沼公園のマスタープラン完成と84歳の誕生日を祝った後、ニューヨークで静かに逝去しました。
「大地を彫刻した」と言われるイサム・ノグチの家具デザインをイラストでご紹介します。
ノグチ・テーブル
(コーヒー・テーブル)
W1280×D930×H400
イサム・ノグチが最初にデザインした家具。オリジナルは1939年にニューヨーク近代美術館の館長のためにデザインされたそうです。模造品が多く出回ったため、1948年「イサム・ノグチのコーヒー・テーブル」として、新たにデザインされました。
重厚なガラスの天板を、2つの脚が絶妙なバランスで支えています。力強く、シンプルで、美しい。後にイサム・ノグチ自身、このテーブルを「最も成功したインダストリアル・アート」だと称しています。
フリーフォームソファ / オットマン
W3000×D1300×H720
W1200×D710×H340
「川石」をイメージしたソファ。座面は柔らかく有機的な曲線を描いています。イサム・ノグチは効果的な表現を生み出すために、厚みが薄くても非常に快適なクッションを使うこと、ファブリックは淡い色調のナチュラル・カラーにすることを強調していたそうです。
フィンテーブル / フィンスツール
W1274×D910×H668
(H440)
W404×D460×H440
天板を ‘ヒレのような木製の脚’ と ‘ふたつのスチールチューブの脚’ で支えるフィンテーブル。
この作品が発表された1940年代は、ダリやキリコ、エルンストなどシュールレアリスト全盛の時代。イサム・ノグチもその影響を受けた彫刻作品を多く創作していたそうです。フィンスツールは前衛的な形が原因で、当時は3年で販売が終了してしまった幻の作品でした。
ロッキング・スツール
H425(H250)×φ360
鼓のような形は古代アフリカの椅子の影響を受けています。また、クロームメッキのスチールワイヤを対角線状に張った繊細な脚部は、ハリー・ベルトイヤへの敬意を表していると言われています。
座面は緩やかに湾曲し、座るとゆらゆら揺れる不思議な椅子です。
ダイニングテーブル
H710xφ1200(φ900)
ロッキング・スツールのデザインから3年後、ノール社の創始者ハンス・ノールのアドバイスにより、テーブルとして生まれ変わったのが、この作品。スツールとは違った優雅さを持っています。
イサム・ノグチ自身も自宅で使っていたそうです。
プリズマティック・テーブル
W410×D470×H375 ホワイト・ブラック
イサム・ノグチは石の彫刻家として有名ですが、金属の作品にも初期より取り組んでいます。
これはイサム・ノグチ最後の家具作品。メタルプレートを折り曲げた面で構成された、繊細なテーブルです。
親交のあった偉大な師、バックミンスター・フラー(数学者・建築家)の影響を強く受けています。
(2005年11月作成)
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