スペースのお話

■ お店で見たときはちょうどいい大きさだと思ったのに、お部屋に置いてみたら意外と大きかった・・・という経験はないですか? 明るく広々としていて天井が高いお店のフロアで見ると、家具は実際よりコンパクトに感じてしまいます。感覚で選んでしまうと、せっかくお気に入りの家具を買ったのにお部屋に入らない・・・なんてことにもなりかねません。
■ 部屋のサイズも家具のサイズも確認して買ったのに、なんだか窮屈に感じる・・・なんてこともありえます。 家具を置くために必要なスペースは、家具の大きさ分だけではありません。ソファなら足を投げ出すスペース、ダイニングセットなら椅子を引いて立ったり座ったりするスペース、収納家具なら扉を開けて物を出し入れするスペース。ゆとりのスペースを考慮しないと家具がぎゅうぎゅうに詰まった部屋になってしまいます。
■ レイアウトは常にゆとりを持って考えるのがコツ。ゆったりとくつろげる部屋にするために、ゆとりのスペースを考えてみませんか?

リビングルームのスペース

お客様を招いたり、家族がくつろいだり、時には家事もしたり。それぞれがさまざまな過ごし方をするリビングには、ついあれもこれもと詰め込みたくなります。ですが、まずは思い切りが大切。

開口部の周りはゆとりを持って確保

まず部屋の広さ、ドアの位置、窓の位置・大きさ・高さ、動線などを考えると、レイアウトが絞り込まれてきます。出入り口の開閉の邪魔にならないように、窓をふさがないように、人の動きの邪魔にならないように。

窓の周りに家具を置くときは、カーテンのことも考慮しましょう。
カーテンを開けてまとめたときの厚みは思った以上にあります。家具を窓枠にぴったり寄せて置くと、カーテンだまりと重なってかなり窮屈な印象になってしまいます。
腰高窓の下に置くときも、カーテンの裾が窓枠より少し下がることを考えておきましょう。

腰高窓のカーテン

最低限から始めてみませんか?

ピアノを置きたいのか、お気に入りのソファでくつろぎたいのか、書棚を並べたいのか、ホームシアターにしたいのか、それとも何も置かず床でごろごろしたいのか・・・家族がゆったり過ごすために優先すべきポイントを決め、そこからレイアウトを始めると思い通りの部屋に近づけます。
収納家具を一つ置いたら、家具の大きさだけでなく物を出し入れするためのスペースが必要になります。ソファとリビングテーブル、ソファとテレビの間にも適度なゆとりが必要。もちろん人が通るための通路も確保しておかなければなりません。
家族がくつろぐために最低限必要なものをまずレイアウトしてみる・・・そして「ココさびしいな」と感じる空間があったら、次に必要なものを置いたり、観葉植物・フロアスタンドなどで雰囲気作りをしてみる・・・
生活していく上で必要なものはそのつど足せばいいのです。まず始めは、ゆとりを持ってレイアウトしてみましょう。

10cmの隙間が生み出すゆとり

お部屋を広々と使いたいと思ったとき、家具は隙間なく並べて残りのスペースを有効に使ったほうが良いと思ってしまいがちです。でも、壁や家具にぴったり並んだソファは見た目もとても窮屈。実際に座ってみても、壁の圧迫感は想像以上です。
置く場所にわずかでも余裕があるなら、壁からほんの少し・・10cmか20cmくらい離して置いてみましょう。あるいは空いたスペースの真ん中にソファを置いてみましょう。
そうしたほんのわずかなスペースが、部屋全体を見回したとき驚くほどのゆとりを生み出します。

ダイニングルームのスペース

ダイニングルームは家族みんなで美味しく楽しく食事をするところ。
将来家族が増えたときのことや友達を招いたときのことも考えて、ゆったり食事が出来るように大きなテーブルをどーんと置いて・・・
でもちょっと待ってください。椅子とテーブルを置けば立ったり座ったりするスペースが必要。食事の準備や後片付けのことも考えると、さらに人が動くスペースが必要。・・・ダイニングルームのレイアウトは「動線」がポイントです。

ダイニングテーブル周りのスペース

ダイニングテーブルの周りには思った以上のスペースが必要です。ついテーブルの大きさだけで考えてしまいがちなのでご用心。円形のテーブルはコンパクトに見えて案外たくさんのスペースが必要ですのでご注意ください。

・美味しく楽しく食事をするためには、まず食事の準備がスムーズに出来ること。キッチンとダイニングはスムーズに行き来できますか?
・食事はゆったりとりたいもの。椅子を引いて立ったり座ったりするのに十分なスペースはありますか?
・食事中にも席を立つことはあります。座っている人の後ろに人が通るスペースはありますか?

座ったときの目線の先へも配慮してみてください。食事の用意をしたままのキッチンが丸見えでは、美味しい食事も台無しです。

ダイニングルームの動線とスペース

ダイニングボード周りのスペース

開き戸

開き戸

引き違い戸

引き違い戸

テーブルのそばにカップボードやダイニングボードを置く場合は、扉を開いたときに座っている人の邪魔にならないよう気をつけましょう。
開き戸は全開でき中のものが取り出しやすい反面、開閉するために広いスペースが必要になります。引き違い戸は扉を開け閉めするスペースが要らない代わりに全開できず、また扉一枚分奥行きが小さくなります。
省スペースや動線を優先させるなら引き違い戸のほうが便利です。

ベッドルームのスペース

ベッドルームは寝るためだけの部屋・・・と考えていませんか?
睡眠を8時間とすると一日の3分の1。人生80年として睡眠時間の合計は233.600時間!・・・およそ27年間は寝ていることになります。それは決して非活動的な時間ではなく、体と脳を休めて翌日のエネルギーを蓄え、皮膚の新陳代謝を促して美肌をつくり、脳の記憶力をよくする・・・など、人間の活動に欠かせない大切な時間です。
快適な眠りが得られないと、心と身体に悪影響を及ぼしかねませんし、第一一日の3分の1もの時間を無駄に過ごすことにもなってしまいましす。
ベッドルームは1日の疲れを癒す快適な眠りのための部屋。・・・ゆったりくつろげるインテリアにしたいですね。

ベッド周りに必要なスペース

ベッド・ナイトテーブル・洋服ダンス・チェスト・ドレッサー・・・あまりぎゅうぎゅうに押し込めると、圧迫感を感じますし、震災の際とても危険です。まずはゆとりを持ってレイアウトするのが大切。
寝るために必要なスペースです。収納家具やドレッサー、デスクなどを置く場合は家具との間にもう少し広いスペースが必要になります。ベッドを壁につけておく場合は、ベッドメイキングのために10cmくらいあけておくとよいでしょう。

シングルベッドのスペース
6畳クローゼットなしのレイアウト
6畳クローゼット有りのレイアウト

図は6畳(255×352cm)の部屋にダブルベッドとワードローブ、チェストを置いた場合のレイアウト例です。ベッドとチェストの間の65cmは通路として最低限必要。チェストの中身を出し入れするにはもう少し余裕がほしいところです。
開き扉のタイプならベッドとの間に約90cm、引き違い戸なら自分が立つ空間が確保できればOKです。省スペースを考えるなら引き違い戸のほうが便利ですが、扉が全開できないという欠点もあります。引出しの場合はしゃがんで引出しを引くという動作のためやはり約90cmは必要になります。
クローゼット(開閉スペース45cm以内)付のお部屋なら、シングルベッドを2台置いてさらに家具を置くことも出来ます。チェストの上に鏡を置けばドレッサーも兼ね、省スペースに。クローゼット用の収納家具なども市販されているので、短い洋服の下などをうまく使ってクローゼットを有効に活用してください。
ベッドを置かずふとんで寝るなら、ふとんの上げ下ろしのスペースさえあれば十分ですが、ふとんの収納スペースが必要になります。ベッドに比べると、横になったときの目線が低くなる分圧迫感は強くなりますので、なるべく背の高い家具を置かないように注意しましょう。

本文中に使用している家具・インテリアの写真はイメージです。当社にてお取扱いのない商品が含まれる場合がございます。また、掲載しました情報はコラム作成当時のものとなりますので予めご了承ください。

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