ミッドセンチュリー家具の特徴と取り入れる際のポイント
公開日:2023/09/06 / 最終更新日:2024/04/23
モダンなデザインで現代アートのような雰囲気をもつ、ミッドセンチュリー家具は、部屋を個性的な空間へと変えてくれます。
しかし、ユニークな見た目をしているために、取り入れるのが難しいとお考えの方も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では、ミッドセンチュリー風の部屋をレイアウトするポイントや、家具を選ぶコツを紹介します。
レトロな家具を取り入れて、おしゃれな空間を作りたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ミッドセンチュリーとは
ミッドセンチュリーとは「世紀の中間」を意味する言葉で、1940~1960年代のアメリカで発祥した家具やインテリアのデザインを指しています。
ミッドセンチュリー家具は、曲線を多用したユニークな見た目と、不要な機能を省いた実用的なデザインが特徴的です。
配置するだけで存在感があり、ミッドセンチュリー家具を揃えた部屋は、まるで現代アートのようだと評されます。
日本でも1990~2000年代に雑誌『Casa BRUTUS』で特集が組まれたのを機に、ミッドセンチュリーブームが起きました。
発祥と歴史
第二次世界大戦終了後、戦勝国であるアメリカでは、軍需産業で生まれた新しい加工技術を用いて、製造業が発達しました。
そんななか、プライウッド(成型積層合板)やFRP(ガラス繊維強化プラスチック)などの強度があって加工性に優れた新素材から、ミッドセンチュリー家具が誕生します。
戦後の経済復興とともに住宅需要が高まったこともあり、先鋭的なデザインで大量生産が可能なミッドセンチュリー家具は、瞬く間に普及しました。
当時は「アメリカンモダン」とよばれていて、ミッドセンチュリーの名前で定着するのは1980年代に入ってからです。
アメリカで始まったミッドセンチュリーのムーブメントは、次第に世界中へと広まり、欧州や北欧でも人気のブランドが立ち上がっていきました。
ミッドセンチュリーは、人気のブランドやデザイナー、流行のスタイルを変化させながら、現在は定番のデザインとして、多くの人々に受け入れられています。
ミッドセンチュリーの代表的な家具ブランド
有名なデザイナーを起用したミッドセンチュリー家具のブランドは、数多くの名作を生み出し、現在に至るまで人々からの支持を集めています。
ミッドセンチュリー家具を選ぶ際は、そのような有名ブランドの商品をチェックしておけば、間違いありません。
ここでは、ミッドセンチュリーの代表的な家具ブランドを3つ紹介します。
ハーマンミラー
【ハーマンミラーの概要】
本拠地 | アメリカ合衆国ミシガン州 |
創業 | 1923年 |
創業者 | D.J.デプリー |
有名なデザイナー | ・ アレキサンダー・ジラード ・ ジョージ・ネルソン ・ ロバート・プロプスト ・ チャールズ&レイ・イームズ |
有名な作品 | ・ アーロンチェア ・ エンボディチェア ・ マシュマロソファ ・ ノグチコーヒーテーブル |
ハーマンミラーは美しいデザインに加えて、最先端の人間工学が落とし込まれた製品を作りつづけている、老舗家具メーカーです。
アメリカのミシガン州に本拠地を置き、2023年で創業100周年を迎えました。
高機能オフィスチェアである「アーロンチェア」を開発するなど、家庭用だけではなく事務用の家具も手掛けています。
ミッドセンチュリーが台頭してきた時代には、モダンデザインの家具を数多く生み出し、現在まで続く地位を築きました。
ハーマンミラーで活躍したアレキサンダー・ジラードやジョージ・ネルソンは、歴史に名を残す有名なデザイナーです。
ミッドセンチュリー家具の特徴
ミッドセンチュリー家具は、ほかにはない特徴をもつ、唯一無二の存在です。
部屋のレイアウトにうまく取り入れれば、ユニークでおしゃれな空間に仕上がります。
ここからは、そんなミッドセンチュリー家具がどのような魅力をもっているのか、さらに掘り下げて解説します。
特徴をよく理解して、ご自身のイメージする部屋に適しているとお考えなら、ぜひミッドセンチュリー家具を選んでみてください。
特徴1シンプルでモダンなデザイン
繰り返しになりますが、余計な装飾や機能が排除されたシンプルなデザインが、ミッドセンチュリー家具の最大の特徴です。
無機質になりがちな、機械によって生産される家具に、デザイナーが試行錯誤しながら、温かみや見た目のよさを追加し、新たな潮流を生み出したのです。
ミッドセンチュリー家具の洗練されたデザインからは、近未来的な雰囲気が感じられます。
特徴2自由なフォルムや模様
軍需産業をもとにした技術の発達により、これまで不可能だった、自由なフォルムや模様がデザインできるようになりました。
ミッドセンチュリー家具が台頭する1940年頃以前は、ユニークなデザインを思いついても、技術力が足りずに実用化されることがありませんでした。
それまでの家具には、直線的なデザインが多く、丸みを帯びたミッドセンチュリー家具のデザインは画期的だったのです。
特徴3ビビットなカラー
明るく鮮やかなビビットカラーも、ミッドセンチュリー家具の特徴の1つです。
一見すると好みが分かれそうな、華やかな色使いが、多くの人に受け入れられたのには、第二次世界大戦の渦中にあった時代背景が関係しています。
戦後に、暗い雰囲気を打破しようとするかのように、無意識のうちに明るく開放的な色が求められたのかもしれません。
また、当時のアメリカで、ポップアートやミニマルアートが流行していたことも影響していると考えられています。
ミッドセンチュリーと北欧風のデザインの違い
北欧風のデザインも、家具やインテリアで人気があります。
ミッドセンチュリーと北欧風のデザインは、どちらも見た目がシンプルで曲線が多いなど、共通点が少なくありません。
北欧風のデザインには、日照時間が短い北欧で気持ちが暗くならないように、明るさを感じられる色が使われています。
ミッドセンチュリーと比べると、優しく、ぬくもりのあるデザインです。
ミッドセンチュリーと北欧風のデザインは、ともに世界的に人気ですが、同じくくりで説明される場合が多く、混同しやすいデザインです。
しかし、両者は生まれた時代背景やカルチャーが明確に異なります。
部屋のレイアウトに取り入れる際に、組み合わせを迷った場合は、専門家に相談してみましょう。
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ミッドセンチュリー風のレイアウトに近づける3つのポイント
歴史のあるミッドセンチュリー家具は、今もなお、愛されつづけています。
おしゃれなカフェや美容院で、使われている場面を目にしたことのある方は多いでしょう。
なかには「自宅の部屋をミッドセンチュリー風に仕上げたい」と考える方もいるはずです。
そんな方のために、ここからはミッドセンチュリー風のレイアウトに近づけるポイントを3つ紹介します。
ポイント1全体の配色のバランスに気をつける
ミッドセンチュリー家具は、その一つひとつがビビットなカラーで目を引きます。
取り入れる際には、部屋全体の印象がまとまるように、配色のバランスには注意したいところです。
ポイントとなる家具のカラーを決めて、それ以外の部分ではシンプルな色を選びましょう。
ミッドセンチュリー家具の豊富なカラーのなかから、部屋のテイストとマッチしたものを見つけてくださいね。
ポイント2モダンテイストなデザインを取り入れる
モダンテイストなデザインを取り入れると、部屋全体がミッドセンチュリー風のレイアウトに近づきます。
ただし、ひと口にミッドセンチュリーといっても、作られた年代やデザイナーによって、家具のテイストが異なります。
1つの部屋に取り入れるテイストは、1~2つ程度がおすすめです。
デザインのテイストを可能な限り揃えることで、部屋に統一感が生まれ、調和のとれた空間が完成します。
ポイント3レトロフューチャーなインテリアを選ぶ
柄の入ったカーテンや個性的なデザインの時計など、レトロフューチャーなインテリアはミッドセンチュリー風の部屋にぴったりです。
レトロフューチャーとは過去の人々が思い描いた未来のことです。
これを部分的に取り入れるだけでも、部屋の雰囲気がガラッと変わり、おしゃれな部屋ができあがります。
また、壁に絵画やポスターといったアート作品を飾るのも、一つの手です。
ミッドセンチュリー家具選びで失敗しないためのコツ
ミッドセンチュリー風の部屋を作る際に、家具選びを失敗すると、まとまりのない印象になってしまいます。
垢抜けたお部屋づくりに欠かせない、家具選びのコツを覚えておきましょう。
コツ1多くの色を使いすぎない
1つ目のポイントは、あまり多くの色を使わないということです。
ミッドセンチュリー家具は、特徴的でカラフルなデザインが多く、闇雲に取り入れてしまうと、ごちゃごちゃとした印象になってしまいます。
特に大きな家具が複数あり、それぞれポップな色を使っていると、落ち着きのない雰囲気になるため、注意してくださいね。
コツ2丸みのある家具を取り入れる
ミッドセンチュリーといえば、シンプルで丸みのあるデザインが特徴です。
角の目立つ家具を配置すると、テイストが損なわれてしまうかもしれません。
曲線を多用したイームズチェアなどの家具を取り入れれば、ミッドセンチュリー風のレイアウトに近づき、統一感が保たれるはずです。
イームズチェアは、ミッドセンチュリーを代表するデザイナーである、チャールズ&レイ・イームズ夫婦がデザインしました。
彼らが世に送り出したイームズチェアやシェルチェアなどの家具は、ミッドセンチュリー風の部屋を目指す方なら、誰もが一度は目にしたり、憧れを持ったりしたことでしょう。
コツ3無機質素材を調和させる
ミッドセンチュリー家具は、軍需産業をもとに発達した背景から、合板やプラスチックなどの無機質な素材が多く使われています。
アーティフィシャルな印象は、度が過ぎると生活空間にそぐわなくなるので、温かみのあるデザインと組み合わせて、調和を取りましょう。
たとえば、壁紙を木目調にしたり、落ち着いた色のクッションフロアを敷いたりするなどの工夫が効果的です。
コツ4照明にこだわる
家具選びがうまくいったら、部屋の照明にもこだわりたいところです。
ペンダントライトやアームライトといった曲線の多い照明は、ミッドセンチュリー風の部屋に溶け込みやすく、部屋の雰囲気に馴染んでくれます。
1940~1960年代にデザインされたものを選べば、ほかのミッドセンチュリー家具との統一感が生まれ、バランスを損ないません。
さらに、照明の照度にまでこだわり、落ち着いた明るさのものを選べば、シックな雰囲気が演出されます。
賃貸でもミッドセンチュリー風の部屋にする方法
持ち家ではなく賃貸物件の場合、原状回復の義務があるため、どうしても部屋のレイアウトに制限が生じます。
家具は自由に用意できても、「壁紙やフローリングを既存のものから変更するのは難しい」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。
賃貸であっても、ミッドセンチュリー風の部屋を諦める必要はありません。
ここからは、賃貸の部屋をミッドセンチュリー風にアレンジする方法を紹介します。
リメイクシートを活用する
現在DIYの流行とともに、気軽に部屋の雰囲気を変えられる、リメイクシート(インテリアシート)の人気が高まっています。
リメイクシートは、一度部屋の壁に貼ったあとでも簡単に剝がせる優れものです。
部分的に壁紙を変えるだけでも、理想のイメージに近づけられます。
ミッドセンチュリー風の部屋を目指す場合は、ストライプやビビットカラーのデザインを選びましょう。
リメイクシートは、ホームセンターや100円ショップで購入できます。
クッションフロアを敷く
賃貸物件のフローリングのデザインが、ミッドセンチュリー風の部屋にマッチしない場合は、クッションフロアを敷いてアレンジするという手があります。
リメイクシートと同様に接着面が吸着素材になっているものや、両面テープで張り付けるものがあるため、賃貸でも使用できるタイプを選んでくださいね。
穴が目立たないフックを使う
家具だけではなく、時計や照明などのインテリアも、ミッドセンチュリー風の部屋を演出するのに重要なアイテムです。
しかし、賃貸であれば壁に穴を空けることをためらって、好みのインテリアを選べないケースも多いでしょう。
現在は、画鋲よりも針の細いフックやピンが豊富にあり、これらを利用すれば穴の跡を目立たせずにインテリアを設置できます。
不安な場合は、壁の目立たない場所で試しておくことをおすすめします。
ミッドセンチュリー家具を取り入れて個性的な空間を作ろう
本記事では、ミッドセンチュリーの特徴や家具を選ぶ際のコツを紹介しました。
シンプルなデザインとビビットなカラーが特徴のミッドセンチュリー家具は、部屋を個性的にしてくれる一方で、うまく取り入れるのが難しいアイテムです。
無計画にミッドセンチュリー家具を配置すると、まとまりのない部屋になりかねません。
家具選びに迷った際は、専門家に相談するのがおすすめです。
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