| 古代 |

ツタンカーメン王
時代の椅子 |

クリスモス |
紀元前3000年ごろのエジプト、すでに外観も機能も現在のものと大差ない、椅子の原型のようなものが使われていました。
ツタンカーメン王の墓からは、まさに権威の象徴ともいえる黄金の玉座や寝台が発掘されています。王権を誇示するにふさわしい、金箔や豪華な彫刻が施された椅子。そのほかにもさまざまな宮殿用の椅子や白塗りのスツールなどがあり、持ち運びできる折りたたみ椅子も考案されています。
ギリシャ・ローマ時代には、木製以外に青銅・鉄・大理石製のものも作られます。曲線を持つ柔らか味のある椅子が作られるようになり、頑丈な男性用の椅子に対して、美しい曲線脚を持つ女性用のクリスモスが有名です。隙間風や床からの寒気を防ぐため脚が届かないほど座面が高く、それは同時に格下のものへの権威保持の表れでもありました。 |
| 中世〜近世 |

サボナローラ:X脚はルネッサンス時代の特徴 |
ビザンチン・ゴシックの時代には教会建築と深く関連して、直線的で素朴な椅子が多く作られます。硬く、冷たく、腰掛けることは出来ても、座って寛ぐものではありません。

ルイ15世式のアームチェア |
やがてルネッサンスが花開くと、建築的で格式ばった意匠から、ローマ時代を基調とした装飾がさかんになります。背や座面をビロードなどで張り、座り心地も少しずつ良くなります。
18世紀ロココの時代になって、ようやく体を包み込むような曲線をもち背や座面に詰め物をした座り心地の良い椅子が登場します。 |
| 近代〜現代 |

アールヌーボー |

アールデコのソファ |
フランス革命によって権威と切り離された椅子は、産業革命によって受注生産から大量生産へ、市民の生活用品へ、様式美から機能美へと移り変わっていきます。
新しい技術や新素材が開発され、手工芸の復興を目指したアーツ・アンド・クラフツ運動や、有機的な曲線を持つ様式を生み出したアールヌーボーなど、その後のデザインに大きな影響をもたらすさまざまな運動が各地で盛んになります。
腰を休めるものから空間を造りだす“デザイン”へ。優れた名作が次々と生み出されていきます。 |